dialogue, human and harmony

「対話」や「人間」についての気づき

コーチング日記(#1~10)

今年のテーマは「人と対話の道を探究し、現場に活かす」ことなので、コーチングを通して体験したこと、気づいたことを言語化して残していこうと思います。

まずは10回区切りで言語化して、記録をためていくことにします^^

 


 

コーチングでは「事柄」や「状況」ではなくて、向き合っている「人の状態」に焦点を当てる。向き合っている「人の状態」が変化することによって、その人がぶつかっていた問題やテーマが違う観点から見れるようになり、兆しがうまれる。一番重要なのは、コーチングを通して「その人の状態」がどう変化したのかであり、次に外的現実においてそれがどう反映されるのかを確認することである。CTIの4つの礎に「本質的な変化を呼び起こす」という言葉があるように、良いコーチングの時はその人のエネルギーの質感が変わるはずである。

 

それでは「その人の状態」に焦点を当てるにはどうすればいいか。まずは「相手という存在に意識を向ける」ことだ。向き合っている相手がいまどういった精神の状態があるのか、纏っているエネルギーはどんな感じか、内側で何を感じてそうか、そういったことに意識を向けるのである。

 

そして、それを感じ取るにあたって参考になるがコーチ自らの「身体感覚」や「五感」である。人間の身体はそもそも「共鳴反応」を起こすものである。感覚が研ぎ澄まされていれば、相手の中に悲しいがあれば、自分もなんだか悲しいを感じるし、相手の中に嬉しいがあれば、自分もなんだか嬉しいがある。こういったもともと持っている「共鳴反応」を呼び覚ますためには、自分の頭から聞こえてくる声を自覚し、それを手放すことで内面の静けさをつくることが重要だ。そうすることで、相手が内側で感じていることが自然と自分の内側でも感じられるようになるのである。

 

また「本質的な変化」にあたっては、相手が自分の可能性に力づけられている状態になることが一つには大事である。そのためには、相手が自分の抱いている未来や理想に十分にエンパワーされるように関わる。その理想の状態を繊細にイメージすることや、その理想の状況ではどんな「その人の状態」が現れるのか、内側でどんな体験が起きるのか、感情や気持ちを味わったりなど、理想の中での「その人の状態」に意識を向けるのである。

河合隼雄に学ぶ、聴く姿勢

コーチングを習ったとき、傾聴には種類があり、集中的に聴き入ることと、全方位的に聴くことがあるという話を聞いた。

河合隼雄(1928-2007)は日本を代表する心理学者であるが、彼は後者の聴き方を基本としてクライアントに向き合っていたのだと思われる。
 
「細部ではなく全体を捉えること」、「そおっと聞くこと」、「全体に平等に注意を向ける」、「その人を本当に動かしている根本の「魂」を感じる」
など感覚的ではあるが、経験的には言い得ている言葉を残している。
 
例えば僕がいままでうけたコーチングでは、まるで仏と対峙しているかのような体験をしたことがある。その人の前に座っていると、するりするりと自分の口から言葉が出てくる。そして気づくと、その人は何も話していないのに、自分が何を考えているのか、何が課題なのか、何を求めているのかがクリアになり、力づいてくるという体験だ。
 
また、僕がコーチングにおいて人の話を聞いているときも、四言くらいしか言葉を出さずに場が終わる時がある。相手の中に答えがあることを信じ、見守っていることで、相手の中から自然と言葉が紡ぎ出されてくるのである。
 
コーチングをうけてくれた人から聞いた
「まさ(僕)に見られていると自分の内側を感じることができる」
という言葉もここでいう聴く姿勢を探究するヒントになりそうなフィードバックだ。
 
奥底にある何か見ようとするこちらの姿勢が、相手の意識を内側に向けさせ、自然と内観・内省の体験をもたらしているのだろう。
 
以下関連する箇所を、河合隼雄茂木健一郎の対談書籍『こころと脳の対話』より抜粋する。


河合 隼雄・茂木健一郎(2011).こころと脳の対話 新潮文庫
 
「私が部屋に入ってきた時、先生は、私の顔にも服装にも、全然関心を示されなかった」p161
 
「それだけじゃありません。先生は私の話の内容に、全然、注意しておられませんでした」p161
 
「何をしておられたかというのは、すごくむずかしいんだけれども、あえていうなら、もし人間に『魂』というものがあるとしたら、そこだけ見ておられました・・・」p162
 
「それが、僕がいまいっている、僕がやりたがってることなんですよ。その人を本当に動かしている根本の「魂」-これと僕は勝負している。こういう気持ちです」p162
 
「だから、そおっと聞いてないとだめなんですよ。言葉で、ワーッと動いていったりしないで。また、相手の言葉に動かされてもいけない」p162
 
「冷たいとか、あったかいとか、親切とか、一生懸命とかいうのと、まったく違う次元で座ってるんですよね。そういうふうに自分を鍛えてきたというか。はじめからできていたわけじゃないですけれど。」p163
 
フロイトの有名な言葉で、クライアントの人がこられて、お話を聞いているときは、「平等に漂える注意力をもって」といいます。英語でいうと、「フリー・フローティング・アテンション」」p175-176
 
相手のどこかに注意したらあかんというのと一緒で、全体に、平等に注意を向けている。そうしていてふっと気になるもの、それがやっぱり大事なんですね。そういうふうに考えたらいいと思う」p176
 
「そういう意味では、先ほどの話に戻ると、われわれは「中心をはずさず」に人と接するということを忘れてしまっているともいえますね。ある人のことを判断するのでも、その人の言葉や振る舞いに引きずられて判断しちゃったりしますよね」p191
 
「だから、そういう細部に飛びつかない、という姿勢がものすごく大事ですね。そうじゃなくて、その人を全体として見る。全体として見ていると、本当に人間というのはおもしろい。人間は誰でも、何をやらかすかわからん可能性をもっている。こう思いますね、本当に」p192

amzn.asia

雰囲気に触れる

4年前に対話をはじめ、2年半前にコーチングをはじめ、今年はいままで得てきた知恵や知識を言葉にする流れが来ています。

研究室の方では「オープンダイアローグ・パターン」という形で対話の知恵を言語化・体系化し、関わっているワークルの方では「コーチング&コミュニティマネジャー」の知恵を言語化・体系化していく予定です。

その流れの中でちょっとずつコーチングの知恵を言語化していきたいなと思ってます。
1対1の対話の中で相手に気づきをもたらしたい人の発見になれば嬉しいです。(^。 ^)
ちなみにこの言語化の形式は「パターン・ランゲージ」という知識記述の方法に乗っ取っています。


 

雰囲気に触れる

何となく伝わってくること。

1on1において、相手の話を聞いている。

 

▼その状況において

 

話の内容を理解しながら会話をしていても、相手自身に関する新しい発見は生まれてこない。

・普段人と会話するときは、話されている内容を理解して、そこに対して反応を返すことが多い。

・しかし、内容に関して質問を繰り返すのでは、話の内容は深まっても、相手自身に関することは深まっていかない。

・そうすると一人で考え抜けば到達できる気づきしかうまれず、相手自身に関する新しい気づきはうまれない。

 

▼そこで

 

話の内容以外から伝わってくる雰囲気や感覚を感じ取り、それを言葉にして返す。

 ・雰囲気が重いか軽いか、明るいか暗いか、澄んでいるか滞っているのかといったように伝わってくる感覚を感じとる。

・そして、「なんとなくこう感じるんだけど、どうかな」というふうに相手に伝える。

・また話を聞いている中で違和感を感じたり、引っかかるところがある場合は、相手の状態と話の内容にギャップがあるかもしれいないため、一度立ち止まって丁寧に言葉にして伝える。

 

▼その結果

 

・相手は自分自身の状態に関して気づくことができ、今の自分を丁寧に感じることができるようになる。

・そして、まだ言葉にできていなかった感覚を自覚できることで、本人にとって大切な気づきを得ることができる。

・このように自分の状態に気づくことができると、そこから考えやこれからの行動を深め直すことができる。